
迷子になっていた猫が無事に見つかると、まずはほっとして、思いきり抱きしめたくなるものです。ただ、外で過ごしていた猫の体には、見た目では分からない変化が起きていることがあります。保護した日から家の暮らしに戻るまでの過ごし方が、猫にとっても飼い主さんにとっても大切です。
この記事では、東京・埼玉ほか関東1都6県で迷子猫の捜索を行う猫探偵24が、保護した直後の動き方、動物病院に伝えること、家に戻ってからのケア、飼い主さん自身の衛生面の注意を、厚生労働省と環境省の資料をもとに整理しました。届け出先への発見の連絡やチラシの回収、お礼の伝え方は 迷子猫が見つかったらやること にまとめていますので、あわせてご覧ください。
※この記事は、迷子猫の捜索に携わる立場から、保護後に気をつけたい点をまとめたものです。猫の体調の判断や治療については、必ず動物病院(獣医師)にご相談ください。
保護した直後にやること|まず「もう一度逃げない」状態をつくる
見つかった猫は、外で緊張した状態が続いていたうえに、捕まえられたことでさらに驚いていることがあります。家に連れて帰る途中や、家に入った瞬間に飛び出してしまっては元も子もありません。
✓ 移動はキャリーで、扉はしっかり閉める/抱っこのまま移動すると、物音に驚いて腕から飛び出すことがあります。捕獲器で保護した場合は、外で扉を開けて移し替えようとせず、保護直後の扱い方を 迷子猫の捕獲器の使い方 で確認してください。
✓ キャリーから出すのは、窓とドアを閉めた部屋で/玄関や廊下で扉を開けるのではなく、窓・ドアを閉めた1部屋に運んでから出してあげます。いなくなった原因の窓やドアは、対策が済むまで開けないようにします。
✓ 水と、身を隠せる場所を用意する/段ボール箱やキャリーそのものなど、猫が身を隠せる場所があると落ち着きやすくなります。無理に引っ張り出したり、しつこく触ったりせず、まずはそっとしておきます。
✓ 雨に濡れていたら、体を拭いて暖かく/濡れたままにしないことは、迷子猫の捜索は雨・台風の日どうする? でもお伝えしています。
✓ 多頭飼いなら、ほかの猫とはいったん別の部屋に/外にいた間の体の状態が分からないうちは、ほかの猫と同じ部屋に放さないほうが安心です。いつから一緒にしてよいかは、受診のときに動物病院で相談してください。
元気そうに見えても、動物病院で診てもらう
環境省の告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、飼い主が守るべきこととして、日常の健康管理に努めるとともに、「疾病にかかり、又は負傷した家庭動物等については、原則として獣医師により速やかに適切な措置が講じられるようにすること」と定めています。
外にいた間に、けがをしていたり、体調を崩していたりしても、見た目や様子だけでは分からないことがあります。食欲がある、歩けているといった様子だけで判断せず、保護したら一度、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
たとえば次のように、いつもと明らかに様子が違うときは、急いだほうがよいことがあります。かかりつけの動物病院(診療時間外なら、夜間に対応している動物病院)に電話で状況を伝え、指示を受けてください。
✓ ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が鈍い
✓ 出血している、足をかばって歩く、触ると強く嫌がる場所がある
✓ 呼吸が苦しそう、吐く・下痢が続く
体を触って確かめるときは、猫が嫌がらない範囲にとどめます。痛いところを触られると、ふだんはおとなしい猫でもかみついたり引っかいたりすることがあります。
動物病院に伝えることメモ|受診前に書き出しておく
受診のときに慌てないよう、分かる範囲で次のことをメモにしておくと、診察がスムーズです。捜索中に書き留めていた記録やチラシが、そのまま役に立ちます。
外にいた期間と場所
✓ いなくなった日時と、保護した日時/外にいたのがおよそ何日間だったか。
✓ 保護した場所と、そのときの状況/草むらや植え込み、床下、物置、駐車場の車の下など、どんな場所にいたか。雨の日が続いていたか。捕獲器で保護したか。
✓ 目撃情報で分かっている行動/ほかの猫とけんかをしていた、どなたかがごはんをあげていた、など。目撃情報の整理のしかたは 迷子猫の目撃情報はどう扱う? で解説しています。
保護してからの様子
✓ 水やごはんを口にしたか、どのくらい食べたか
✓ おしっこ・うんちは出ているか、色や回数に変わったところはないか
✓ 体の傷や汚れ、気になるしぐさ/体をかゆがる、同じところをしきりになめる、など。
ふだんの健康の記録
✓ 年齢、持病、飲んでいる薬、これまでの予防の記録/かかりつけ以外の動物病院にかかる場合は、分かる範囲で伝えます。
✓ ほかに飼っている動物がいるか/多頭飼いのお宅では、ほかの猫と会わせてよい時期の相談にもつながります。
外で何日も過ごしていた場合、ごはんの量や与え方も、受診のときにあわせて相談しておくと安心です。
マダニがついていたら|猫の体と、飼い主さん自身の衛生
マダニは無理に取らない
草むらや植え込みにひそんでいた猫は、体にマダニが付いて帰ってくることがあります。厚生労働省の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」は、ペットに付いたマダニについて「マダニが咬着している(しっかり食い込んでいる)場合は、無理に取らず、獣医師に除去してもらうのがよいでしょう」としています。また、「ペット用のダニ駆除剤等がありますので、かかりつけの獣医師に相談してください」とも案内しています。毛の間に小さな粒のようなものを見つけても、指でつまんで引き抜かず、動物病院で相談してください。なお、同じQ&Aは、ペットに付いているマダニに触れただけで感染することはないものの、「マダニに刺されれば、その危険性はあります」としています。受診までのあいだは、猫を抱いたあとに自分の服や手元にマダニが付いていないかも確かめておくと安心です。
SFTSについて知っておきたいこと
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、主にマダニが媒介する感染症です。同じQ&Aによると、ネコやイヌも感染して「発熱・元気消失・嘔吐・黄疸(黄疸はネコのみ)などの症状を示し」、感染した動物は「西日本を中心に」報告されてきたものの、「徐々に東日本での報告も増えており」とされています。
あわせて、同じQ&Aは、発症している動物の血液や唾液などの体液に直接触れた場合は感染する可能性があり、実際に「ネコに咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染した事例」も報告されているとしています。一方で、「発症していないネコやイヌ、屋内のみで飼育されているネコやイヌからヒトがSFTSウイルスに感染した事例はこれまでに報告されていません」とも明記しています。外で過ごしてきた猫は「屋内のみで飼育」されていた状態ではないため、落ち着いて、次の点を心に留めておいてください。
✓ 猫に触ったら、手を洗う/Q&Aは「動物に触ったら必ず手を洗いましょう」とし、環境省の基準も、動物に触れたり排せつ物を処理したりしたときは「手指等の洗浄を十分行い、必要に応じ消毒を行うこと」としています。トイレの片付けのあとも同じです。
✓ 体調が悪そうなときは、かまれないよう注意して受診を/Q&Aは、動物が体調不良のときは「マスク、手袋などを着用し、咬まれたり舐められたりしないように注意したうえで、動物病院で診てもらってください」としています。
✓ 再会がうれしくても、触れ合いはほどほどに/Q&Aは、動物を飼っている場合の注意として、口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝たりするような「過剰な触れ合い」を控えるよう呼びかけています。
✓ 飼い主さんの体調にも気を配る/保護のときにかまれたり引っかかれたりした方、捜索で草むらに入った方は、ご自身の体調の変化にも注意してください。Q&Aは「体調に異変を感じたら、早めに医療機関を受診してください」とし、受診の際にはペットの健康状態や動物との接触状況も医師に伝えるよう案内しています。
捜索で草むらや藪に入るときは、長袖・長ズボンなど肌の露出を少なくする服装が勧められています。屋外活動後は入浴してマダニに刺されていないか確認し、吸血されていた場合は無理に引き抜こうとせず、皮膚科などで除去してもらうよう案内されています(同Q&A)。猫がひそみやすい場所については 迷子猫はどこに隠れる? をご覧ください。
家に戻ってからの過ごし方|少しずつ元の暮らしへ
しばらくは静かな1部屋で
帰ってきた猫は、家に戻ってもしばらく隠れて出てこなかったり、物音に敏感になっていたりすることがあります。保護した直後と同じく、窓とドアを閉めた静かな部屋に、水・ごはん・トイレ・隠れられる場所をそろえて過ごしてもらいましょう。家族が代わる代わるのぞき込んだり、来客を呼んだりするのは、落ち着いてからにします。行動範囲は、猫の様子を見ながら少しずつ広げていきます。
毎日見ておきたいこと
受診のあとも、しばらくは次の点を毎日見て、変化があればメモしておきます。気になることが出てきたら、受診した動物病院に相談してください。
✓ 食べる量と水を飲む量
✓ おしっこ・うんちの量や回数、状態
✓ 動き方や毛づくろいの様子、体をかゆがっていないか
✓ 隠れたまま出てこない時間が長すぎないか
ほかの猫と会わせる前に相談を
多頭飼いのお宅では、保護した猫をほかの猫と会わせる時期と方法を、動物病院に相談してから決めると安心です。においの違いに戸惑って、仲の良かった猫同士がぎくしゃくすることもあります。いきなり同じ部屋に放さず、様子を見ながら少しずつ慣らしていきましょう。多頭飼いならではの脱走の備えは 多頭飼いの猫の脱走対策 にまとめています。
同じことを繰り返さないために|出口と身元表示を見直す
猫が落ち着いたら、いなくなった原因をふさぐ作業に移ります。原因になった窓やドアがそのままでは、また同じことが起きるかもしれません。環境省の基準も、飼い主が守るべきこととして逸走(脱走)の防止を挙げています。
✓ 出口をふさぐ/網戸が原因なら 網戸を破る・開ける猫の脱走対策、網戸以外の窓や隙間なら 猫の脱走ルート点検リスト で家じゅうを点検できます。脱走が起きやすい時期については 猫が脱走しやすい季節とタイミング も参考になります。
✓ 首輪と迷子札を付け直す/外にいる間に首輪や迷子札をなくしていることがあります。選び方は 猫の迷子札と首輪の選び方 をご覧ください。
✓ マイクロチップの有無と登録情報を確かめる/受診のついでに、マイクロチップの読み取りをお願いできるか動物病院に相談してみてください。仕組みと注意点は 猫にマイクロチップは必要? で解説しています。
✓ 最近の写真を撮っておく/万一のときにチラシや届け出に使えるよう、全身と顔、柄の特徴が分かる写真を新しくしておきます(迷子猫のチラシの作り方と効果的な配り方)。
よくある質問
Q. 自分で家に帰ってきた場合も、動物病院に連れて行ったほうがいいですか?
自分で帰ってきた場合でも、外にいた間に何があったかは分かりません。見た目が元気そうでも、保護した場合と同じように一度診てもらうと安心です。環境省の基準も、病気やけがの動物は「原則として獣医師により速やかに適切な措置が講じられるようにすること」としています。いつ受診すればよいか迷うときは、かかりつけの動物病院に電話で相談してみてください。
Q. ほかの方が保護してくれていた場合は、何を確認すればいいですか?
保護していた間に動物病院に連れて行ってもらったか、何を食べさせてもらっていたか、様子で気になったことはなかったかを聞いておくと、受診のときに役立ちます。お礼や費用のことは 迷子猫が見つかったらやること をご覧ください。
Q. 猫の体にマダニが付いているのを見つけました。取ってもいいですか?
しっかり食い込んでいるマダニは、無理に取らず、動物病院で除去してもらいましょう。厚生労働省のQ&Aも、獣医師に除去してもらうのがよいとしています。食い込んでいないように見える場合も、指でつまんで取ろうとせず、動物病院に相談すると安心です。
迷子猫のご相談は、東京・埼玉の猫探偵24へ
この記事は「見つかったあと」のお話でしたが、猫がいなくなった直後は、できるだけ早く動くことが発見への近道です。いなくなったと気づいたら、まずは 猫が脱走した時にまずやるべきこと に沿って動いてください。
猫探偵24は関東1都6県(東京・埼玉・神奈川・千葉・茨城・栃木・群馬)を対象に、24時間365日ご相談を受け付けています。猫の行動に精通した猫捜索のプロが、近隣への聞き込み、持ち主の方にご協力いただける範囲での防犯カメラの映像確認、猫がひそみやすい場所の重点確認を組み合わせて捜索を進めます。ほかの方が保護していた場合の受け渡しのトラブル(所有権の証明など)にも対応しています。猫の体調のご相談は、動物病院にお願いいたします。
料金は1日22,000円(税込)〜のキャンペーン価格です。成功報酬なし(エリアによっては出張費が発生する場合があります)の日額制で、費用の考え方は 迷子猫の捜索をプロに頼む料金は? で解説しています。最新の料金は、お問い合わせの際にご確認ください。
出典:厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」/環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(PDF)」(厚生労働省のQ&Aは一部を要約して掲載)






