
迷子になった猫を呼ぶとき、大きな声で名前を連呼しながら歩き回っていませんか。気持ちはよく分かりますが、外で怖がっている猫にとって、それは「知らない場所で大きな音が近づいてくる」状態です。迷子猫の呼び方の基本は、猫がふだんから聞き慣れている合図を、静かに短く出して、待つことです。
この記事では、東京・埼玉ほか関東1都6県で迷子猫の捜索を行う猫探偵24が、声のかけ方の手順、ごはんの音の使い方、においで誘い出すときの置き方と片付けを順に整理します。猫が呼んでも出てこない理由そのものは 迷子猫が呼んでも出てこない・鳴かない理由 で解説していますので、あわせてご覧ください。いなくなった直後の届け出などは 猫が脱走した時にまずやるべきこと にまとめています。
迷子猫の呼び方とは?「合図を出して待つ」が基本
ここでいう迷子猫の呼び方とは、猫が「いつもの家の気配だ」と感じる手がかり(声・ごはんの音・におい)を、猫が隠れていそうな場所の近くで出し、猫が自分から動くのを待つ方法のことです。猫を見つけ出すための手段というより、隠れている猫に「ここは安全かもしれない」と伝えるための手段と考えると、やり方を間違えにくくなります。
手がかりは大きく3つあります。
✓ 声/いつも世話をしている人の、いつもの呼び方。
✓ ごはんの音/フードの袋、缶やパウチ、食器など、ふだんの食事のときに鳴っている音。
✓ におい/食べ慣れたフード、使っていたトイレの砂、寝床の毛布など、家のにおいがついたもの。
どれも「ふだんと同じであること」が大切です。外で初めて聞く音や、初めて嗅ぐにおいは、猫にとっては知らない刺激の一つにすぎません。
呼ぶ前に決めておきたい3つのこと
声をかけ始める前に、「誰が・どこで・いつ」呼ぶかを家族で決めておくと、呼びかけが空回りしにくくなります。
誰が呼ぶか:いちばん世話をしている人を中心に
呼ぶ役は、ごはんをあげている人や、猫がふだんよく甘えている人を中心にします。家族や知人が手伝ってくれる場合も、呼びかけ役は1〜2人に絞り、ほかの人は少し離れて、物陰の確認や物音を聞く役に回ってもらうのがおすすめです。大勢で一斉に呼ぶと知らない声が増えてしまうことは、迷子猫が呼んでも出てこない・鳴かない理由 でも触れています。
どこで呼ぶか:猫がひそんでいそうな場所のそばで
道の真ん中を歩きながら呼ぶより、植え込み、物置の下、室外機の裏、車の下など、猫が身を潜めていそうな場所の近くで立ち止まって呼ぶほうが、合図が届きやすくなります。どんな場所に隠れやすいかは 迷子猫はどこに隠れる? を、集合住宅の場合は マンションから猫が脱走した時の探し方 を参考にしてください。よそのお宅の敷地の近くで呼ぶときや、敷地の中を確認したいときは、持ち主の方に一声かけて了解を得てからにしましょう。
いつ呼ぶか:人や車の少ない時間に
人通りや車の多い時間帯は、こちらの声も、猫の小さな物音も生活音にまぎれます。夜や明け方など、まわりが静かな時間のほうが合図は届きやすくなります。ただし、住宅街で夜中に声を出し続けると近所の方の迷惑になりかねません。静かな時間ほど、声は小さく、回数は少なめにするのが基本です。暗い時間帯の探し方は 夜に迷子猫を探すコツ にまとめています。
声のかけ方の手順
声をかけるときは、「呼ぶ」より「待つ」時間のほうを長くとるつもりで進めます。
① 立ち止まって、しゃがむ
歩きながら呼ぶと、自分の足音で猫の反応を聞き逃します。隠れていそうな場所の前で立ち止まり、できれば姿勢を低くします。上から見下ろされるより、低い姿勢のほうが猫に与える圧迫感は小さいと考えられます。
② いつもの呼び方で、短く呼ぶ
家で呼ぶときと同じ名前、同じ調子で、短く声をかけます。名前より「ごはんだよ」など別の声かけに反応する子なら、ふだんのその言葉を使います。
③ 呼んだら、しばらく黙って耳を澄ます
続けて何度も呼ばず、間をあけて、小さな鳴き声や、物陰で何かが動く音がしないかを聞きます。夜であれば、ライトで物陰を照らして目が光らないかも確認します。目が光ったら、光を当て続けず足元にずらして様子を見ます。
④ 反応がなくても、場所を変えて同じことを繰り返す
反応がないことは、そこにいないという意味にはなりません。一度呼んだ場所も、時間を変えてもう一度試します。
⑤ 姿が見えても、追いかけない・手を伸ばさない
猫が顔を出したら、その場にしゃがんだまま静かに声をかけ続け、猫のほうから近づいてくるのを待ちます。急に立ち上がったり手を伸ばしたりすると、奥へ逃げてしまうことがあります。近づいてこない場合は、迷子猫の捕獲器の使い方 にあるように、捕獲器を使う方法もあります。
ごはんの音で誘うときのコツ
声に反応しにくい猫でも、ごはんのときの音には耳を向けることがあります。ポイントは、その猫の家で実際に鳴っていた音を使うことです。
✓ ふだんの音をそのまま再現する/いつもカリカリの袋を振っているならその袋を、缶やパウチを開けているならそれを使います。食器にフードを入れる音や、食器を床に置く音が合図になっている家もあります。
✓ 鳴らしたら、声と同じように待つ/音を出し続けるのではなく、短く鳴らしてから耳を澄ませます。
✓ 家で聞いたことのない音は使わない/新しく買ったおもちゃの音や笛など、猫が知らない音は合図になりません。驚かせてしまうこともあります。
✓ 夜は音量と時間に気をつける/缶を叩く、食器を打ち鳴らすといった大きな音は、近所の方の迷惑になるうえ、猫を驚かせることもあります。
においで誘い出すときの置き方
家のにおいがついたものを、猫が戻ってきそうな場所に置いておく方法もあります(フードの置き方と片付けは、次の項目で説明します)。使われることが多いのは、次のようなものです。
✓ 食べ慣れたフード/においの立ちやすいウェットフードを少量。
✓ 使っていたトイレの砂/猫自身のにおいがついたもの。
✓ 寝床の毛布やタオル、飼い主さんの衣類/ふだん猫が触れていたもの。
置く場所は、玄関先や、猫が出ていったと思われる場所の近くが基本です。雨に当たるとにおいが流れやすいため、軒下やポーチなど雨のかからない場所を選びます(迷子猫の捜索は雨・台風の日どうする?)。マンションの共用廊下やエントランスなど、共用部分に物を置くときは、先に管理会社や管理組合に確認しておくとトラブルを避けやすくなります。
猫探偵24の捜索でも、使用済みの猫砂や飼い主さんのにおいがついた衣類、いつものフードを使って、自宅のまわりに「においの導線」をつくった例があります(【猫探し解決事例】東京都世田谷区|脱走3日後の深夜に自力帰宅)。においの手がかりは、ほかの探し方と組み合わせて使うものと考えてください。
フードを外に置くときは「置きっぱなし」にしない
フードを外に置く方法には、気をつけたい点もあります。結論から言うと、フードは見守れる時間だけ少量を置き、その場を離れるときは片付けるのが安心です。
環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月)は、地域で飼い主のいない猫の世話をする「地域猫活動」のエサやりについて、「食べ終わるのを待って容器を回収し、周辺の清掃をしましょう。置きエサは絶対にやめましょう。カラスがきたり、ハエ・ゴキブリなどの害虫発生や悪臭の原因になります。」としています。
迷子猫を呼ぶためのフードとは目的が違いますが、外に食べ物を置いたままにしたときに起こりうることは共通しています。当コラムでは、迷子猫のためのフードも次のように扱うことをおすすめしています。
✓ 置くのは、目の届く時間だけ/物陰から様子を見られる時間に置き、離れるときは回収します。
✓ 量は少しにする/においを届けるのが目的なので、たくさん置く必要はありません。
✓ 食べ残しと容器は片付け、まわりを掃除する/カラスや虫が集まったり、においが残ったりしないようにします。
✓ よそのお宅の敷地や道路には置かない/置くのは自宅の敷地内にとどめ、集合住宅の共用部分に置くときは先に管理会社や管理組合に確認します。
また、外に置いたフードには、迷子の猫だけでなく、近所の外で暮らす猫やほかの動物が寄ってくることもあります。ほかの動物が来ていると、警戒心の強い迷子猫はかえって近づきにくくなるかもしれません。「食べてあったから、うちの子が来た」とは限らないので、可能なら見守りながら置き、来た動物を自分の目で確かめましょう。
ふだんからできる準備:家の「呼び戻しの合図」を決めておく
ここまでの方法は、猫が「いつもの声」「いつもの音」を知っていてこそ活きるものです。逆に言えば、ふだんの暮らしの中で、家の合図をはっきりさせておくことが、いざというときの大切な備えになります。
✓ ごはんの前の声かけと音をそろえる/ごはんのたびに同じ言葉をかけ、同じ袋や食器の音を鳴らすようにしておくと、それが家の合図になっていきます。
✓ 家族で呼び方を統一する/家族ごとに呼び名が違うと、どの声が合図なのかがあいまいになります。
✓ 猫がどの合図に反応しやすいかを知っておく/名前より「ごはん」に反応する、特定の家族の声にだけ寄ってくる、といった傾向をメモしておくと、いざというときに迷いません。
あわせて、首輪と迷子札、マイクロチップの情報登録など、保護されたときに飼い主さんへ連絡が届く備えも大切です(猫の迷子札と首輪の選び方)。多頭飼いのお宅では、頭数分の備えを 多頭飼いの猫の脱走対策 にまとめています。
呼んでも出てこないときは、ほかの方法と組み合わせる
呼びかけは捜索の方法の一つにすぎません。反応がないまま時間がたつときは、呼びかけだけに頼らず、ほかの方法と並行して進めましょう。
✓ 目撃情報を集める/近所の方からの情報が手がかりになることがあります(迷子猫の目撃情報はどう扱う?、迷子猫のチラシの作り方と効果的な配り方)。
✓ 届け出を確認する/保健所・動物愛護センター・警察への届け出がまだなら、先に済ませておきます(猫が脱走した時にまずやるべきこと)。
✓ 「帰ってくるのを待つ」だけにしない/猫が自力で戻ることを期待して待つだけにするのはおすすめできません(猫の帰巣本能はどこまで信用できる?)。いなくなってからの日数と探し方の関係は 猫がいなくなって何日まで見つかる? もご覧ください。
無事に保護できたあとの過ごし方は、迷子猫を保護したあとのケア で紹介しています。
呼んでも反応がない迷子猫のご相談は猫探偵24へ
「毎晩呼んでいるのに、気配がない」「フードは減っているけれど、うちの子かどうか分からない」——こうした段階でのご相談も承っています。呼びかけと並行して、見る場所と時間帯を絞り込むことが、捜索を前に進める鍵になります。
猫探偵24は関東1都6県(東京・埼玉・神奈川・千葉・茨城・栃木・群馬)を対象に、24時間365日ご相談を受け付けています。猫の行動に精通した猫捜索のプロが、近隣への聞き込み、持ち主の方にご協力いただける範囲での防犯カメラの映像確認、猫がひそみやすい場所の重点確認を組み合わせて捜索を進めます。
料金は1日22,000円(税込)〜のキャンペーン価格です。成功報酬なし(エリアによっては出張費が発生する場合があります)の日額制で、費用の考え方は 迷子猫の捜索をプロに頼む料金は? で解説しています。最新の料金は、お問い合わせの際にご確認ください。
出典:環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月)






